工務店のブランディングは何から始めるのが正解?手順や考え方について

こんにちは、昇高弘典です。今回は工務店のブランディングについて実際にブランドを立ち上げた経験をもとに解説します。

  • 「集客力をアップしたい」
  • 「坪単価を上げたい」
  • 「優秀な人材を獲得したい」

そんなお悩みを持っている方のために、どのような順番でブランディングを進めていくのかについて紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

工務店のブランド立ち上げを通じて分かった

まず、私自身がブランディングに関してどのような業務に携わったのか、そしてそこから何を学びんできたのかについて紹介します。

なぜ今工務店にブランドディングが必要なのか

ブランディングについての話を始める上で、最初に考えておくべきことは「なぜ今ブランディングが必要なのか?」ということです。

ブランディングと一言で言っても、そのやり方や考え方、成功例、失敗例はたくさんあり、その目的もさまざまです。今回紹介するブランディングの話は、以下のような目的をもとにプロジェクトを進めています。

  • 付加価値の向上
  • 人材の獲得
  • 業務の効率化

もう少し詳しく解説すると、「付加価値の向上」はビジネスの根幹でもある利益を上げることを目指すものです。

ブランディングを通じて、顧客に提供する体験価値や知覚価値を高めることで、「良いものだから相場よりも高くても売れる」という状態を作ることを目標とします。

次に「人材確保」について、ブランディングを成功させることで利益を確保することができれば、給与や働き方において他者よりも良い条件を提示できるので、優秀な人材を獲得しやすくなります。

最後に「業務の効率化」について、ブランディングが成功するとコンセプトや雰囲気を好む顧客と取引ができるので、結果的に提案する住宅も統一感のあるものになり、業務が効率化されていくという側面があります。

このようなゴール設定をして、ブランディングを開始することがプロジェクトの継続と成功にとても重要です。

ブランディングとしてやったこと

今回紹介するブランディングは、私が実際に働いている創業50年を超えた地元の工務店の話です。この工務店は、もともと土木や新築住宅、リフォームといったさまざまなジャンルの建設業を営んできました。

しかし、昨今では大型の公共土木事業の需要が減り、新築住宅の着工棟数も減少傾向になります。また、工務店というビジネスモデルは都市でも地方でも普及しており、差別化が難しい状態にあります。

そこで、今回は行ったブランディングは「注文住宅に特化したリブランディング」です。リブランディングとは、もともとあるブランドやビジネスを見直し、その価値を高めるための活動です。

具体的には、418BASEという新築住宅専門ブランドの立ち上げを2022年4月から行ってきました。(まだ、現在もブランド立ち上げを進めています。)

リブランディングの手法として、以下のようなものを現場で取り組んでいます。

  • ブランドコンセプトの確立と普及
  • ブランドカラーやロゴのデザイン
  • ブランド販促物の制作
  • WEBサイトの制作
  • オーナーズクラブの立ち上げ
  • etc

ここから、1つずつの内容をもう少し詳しく紹介します。

施策:ブランドコンセプトの確立と普及

ブランドの立ち上げで最初に行ったことは、ブランドのコンセプトやブランドネームの作成です。たとえば、418BASEというブランドの場合、以下のような内容に決定しました。

  • ネーム: 418BASE(読み方 ヨンイチハチベース)
  • コンセプト: 快適な住まいづくりを通じて、最高の家づくり体験を届ける
  • 約束:年間施工棟数に制限を設け、すべてのオーナー様に高品質な家づくりとワクワクで楽しい体験を届けること

施策:ブランドカラーやロゴのデザイン

ブランドコンセプトを決めた後、次はブランドロゴやブランドカラーを決めていきました。

ブランドカラーは大自然のような落ち着きと心地よさを与えてくれる深緑をメインカラーとして、ロゴには会社名とブランド名を入れました。

このブログを執筆している現時点でブランド立ち上げから約2年が経過しましたが、まだまだ会社名の方が地域における認知度が高く、ブランド名と会社名を併用して使用するロゴを採用している状況です。

Main Color:#2b5346

Font:Noto Serif JP

施策:ブランド販促物の制作

ブランドのロゴは決まった後は、ブランドのPRに使用する以下のような販促物を作成しました。一部の販促物は現段階で制作途中です。

  • 施工現場の垂れ幕
  • 施工現場やモデルハウス設置用のぼり
  • 会社案内&施工事例集
  • ブランド紹介パンフレット

▼ブランド紹介パンフレット(表面のみ紹介)

施策:WEBサイトの制作

ブランドの販促物を作成すると同時期に行ったのが、WEBサイトの構築です。418BASEの場合、以下の3つのWEBサイトを立ち上げることになりました。

  • ブランドホームページ(会社ホームページを兼ねる)
  • リクルートサイト
  • 家づくりブログサイト

WEBサイトの構築費用は決して安くなく、複数のサイトを同時に立ち上げる場合にはそれなりのコストが発生してしますため、今回は自主製作で作成しました。

施策:オーナーズクラブの立ち上げ

WEBサイトの運用が安定してきたところで、続いてオーナーズクラブを立ち上げることになりました。

オーナーズクラブとは、住宅を建築したオーナー様向けに提供するコミュニティで、暮らしに役立つ情報やブランドの普及につながる活動を行っていく場所です。

もともとオーナー様とのコミュニケーションはあったものの、その名称やあり方について明確な内容がなかったため、知り合いの工務店さんから詳しい話を聞いて、2023年10月に立ち上げを行いました。

オーナーズクラブの立ち上げで行った内容は以下のようなものです。

  • オーナーズクラブ専用サイトの構築と運用開始(一般非公開)
  • オーナー様向けイベントの定期開催
  • オーナーズクラブ説明資料の制作
  • オーナーズクラブ専用システムの構築

オーナーズクラブの立ち上げにあたり、WEBサービスやコンサルの利用なども検討したのですが、将来的には自分たちですべてできるようになる必要があると判断したので、今回は自主製作しました。

分かったことと今後の展望

ここまで述べたようなブランド立ち上げ業務を現場で実行してきたことについて、失敗や成功から学んだことをまとめます。

  • ブランドは一歩ずつ進めることが大切、時には戻ることも必要
  • 市場分析は必要だが、競合に囚われすぎてはいけない
  • ブランディングは継続することで意味が生まれる
  • ブランドは常に柔軟に変化し続けるものである
  • ブランディングとは決断することである

私が経験したブランド立ち上げのプロジェクトでは、何度もブランドコンセプトを見直しながら、1つずつの工程を丁寧に進めてきました。

常に「この文言で良いのか、このデザインで良いのか、この伝え方で良いのか」そんな疑問を抱きながらも、決断をして進めていく必要がありました。

ときには住宅を建てるオーナー様のところに出向き、暮らし方や住まい方、悩み話を聞いてそれをブランドに反映させることもありました。

そして何より、たくさんの方に協力してもらいながら、継続して努力することができなければブランドは成立しないと私は思います。ぜひあなたのブランディングも味方を作ってプロジェクトを成功させてくださいね。

工務店のブランディングの進め方5つのステップと注意点

上記に述べたようなブランディングを現場で実行してきた経験を踏まえて、これから工務店で新規ブランドの立ち上げまたはリブランディングをしたいという方のために、進め方と注意点についてまとめます。

手順①ブランドの全体設計

まず最初に行うべきことは、ブランドの全体を設計することです。ここで言う全体は、くっきりした全体像でなくてもかまいません。誰にどんな価値をどのように提供するのか、この軸が決まればOKだと考えてください。

具体的に決めることは以下のような項目です。

  • ブランドの目的
  • ブランドが果たすべき役割
  • ブランドが大切にすること
  • ブランドコピー
  • ブランドカラー
  • ブランドパーソナリティー(特徴や個性)

このとき、市場分析や自己理解を深めることも大切ですが、深く分析しようとするあまりに何も進められなくなっては本末転倒です。

ときには少し強引に進めて、ダメだったら少し戻るぐらいの気持ちでプロジェクトを進めると良いです。

手順②アウターブランディングの実行

全体設計の次はアウターブランディングを実行してください。

一般的にはブランドのコアをできたら、次はインナーブランディング、そしてアウターブランディングとするのが王道だと思います。

でも実際に現場に立ってみると分かりますが、老舗会社でのリブランディングの場合にはインナーブランディングはアウターブランディングよりも後になると思います。

なぜなら、いきなりブランドコンセプトを決めて、社員に浸透させようとしても日本人の性格として「夢のような理念を語るなんて恥ずかしい、価値観に沿って自分から積極的に行動できない」という問題が起きるからです。

なので、まず顧客に向けてブランドを思いや理念、意義を伝えて、そういった顧客が集まり始めることで社内にもその意識が芽生えるといった流れにすると恥じらいなくブランディングができるようになると私は思います。

アウターブランディングとして実行すべき内容は以下のようなものです。

  • 販促物の作成
  • コミュニティーの立ち上げ
  • 情報発信
  • 協力企業や協賛企業の募集

手順③インナーブランディングの実行

アウターブランディングを実行しながら、徐々にインナーブランディングにも取り組んでいきましょう。

インナーブランディングとは社内に向けたブランド普及活動ですが、工務店の場合日常業務に追われる毎日なので、ブランドのことを意識することは少ないかもしれません。

そういった場合には、顧客向けのイベントを開催して、そこに社員としてイベント参加をしてもらい、顧客の顔を見ながらブランドについての理解を深めるといった活動がおすすめです。

手順④PR活動の実行

インナーブランディングを始めることができたら、次はブランドをより多くの人に広めるための認知および信頼構築活動を進めましょう。

たとえば、住宅雑誌やブランド雑誌に掲載したり、拡散力のあるインフルエンサーとコラボして情報を発信するなどが有効的な手段です。

ここで重要なポイントは、なぜ私たちが社会や情報の受け手にとって必要な存在なのかということを意識して活動することです。自分語りではなく、常に相手目線で活動内容を判断するように心がけてください。

手順⑤ブランディング人材の育成

最後に、ブランディング人材を社内に育てていくこともとても重要なことです。ブランディングについての基礎を理解して、ブランドを広めたいと思う仲間を増やしましょう。

ひとりでできることは限られているので、ブランディングに興味を持っているあなた自身が矢面に立って仲間とともに物語を進めてください。

まとめ

今回は工務店のブランディングについて、どのように進めれば良いのかという内容で解説してきました。

今日ではあらゆるビジネスで「ブランディング」という言葉が、流行り言葉のように扱われていますが、ブランディングとは農業時代の焼印から始まったとてもシンプルで長く続く伝統的なものです。

流行りに流されることなく、本質を理解してブランディングに取り組んでいきましょう。では、また次回のブログでお会いしましょう。

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