施工写真は工務店の集客で重要なのか?撮り方やポイントを解説

こんにちは、弘典です。今回はなぜ工務店の集客において施工写真が重要なのかについて、実践経験を踏まえた内容で解説していきます。

  • 「どうやって施工写真を撮影すればいいの?」
  • 「なるべくコスパよく効果的な写真素材を作るためにはどうすれば良いの?」
  • 「撮影のコツはあるの?」

そんな、工務店の広報やマーケティング担当の人であれば、1度は悩むポイントについても詳しく解説します。 ぜひ最後までご覧ください。

目次

施工写真が工務店集客において重要である3つの理由

まずは、なぜ施工写真が工務店集客において重要なのかについて、工務店のマーケティング担当者として現場での実践を踏まえて、3つの理由が挙げます。

1. 施工写真は工務店の顔、第一印象で好き嫌いが決まる

施工写真は、工務店を初めて知る人々にとって、その店の「顔」とも言えます。

第一印象が大切なのは、人間関係だけではありません。美しく、質の高い施工写真は、顧客の好意を引き、信頼を築く起点となるのです。

たとえば、工務店のホームページにおいて複数ページにわたって情報が記載されている場合、どのページが良く見られているでしょうか?ホームページの構成によっても異なりますが、私が見てきた中では多くの場合、以下のようなページのアクセス数が多い傾向にありました。

  • 会社概要ページ
  • 施工事例ページ
  • 会社スタッフページ

つまり、工務店のホームページに初めて訪れるユーザーが知りたい情報は、「どんな人達がどんな家を作っているのか?」ということです。もし、工務店経営者が自分たちの強みや他社との違いをアピールしたいと思っていたとしても、ホームページに訪れるユーザーはそれを求めていない可能性があります。

これらの事を踏まえると、ホームページにおいてまず最初に整えるべき内容は、「自分たちが何物であるかを一瞬で分かりやすく伝える部分」ということになります。この点において、『施工写真』は最も重要な要素と言えるのです。

2. 競合との差別化で、住み分けができるようになる

今の日本には、都市部でも地方でも工務店というビジネスモデルはコモディティ化しており、顧客の注意を引くためには差別化が重要です。このとき、施工写真はその強力なツールであり、デザインやこだわりの施工技術を写真で表現することで、他の工務店との住み分けが可能になります。

たとえば、平屋や二世帯住宅、自然素材や大空間を実現する工法など、自分たちの強みに繋がる要素を写真で正しく表現できると、同じ地域にある競合他社との差別化につながります。

ただし、住宅性能や施工品質など、施工写真では伝わりにくい要素もあります。なので、施工写真と通じてユーザーに対して何を届けるのかということを常に考える必要があります。

では、実際に3つの写真を見てみましょう。このとき、どんなイメージが頭に浮かぶかについて考えてみてください。今回は私の頭に浮かんだキーワードを写真の下にまとめてみました。

キーワード: リラックス、落ち着きのある、明るい、自然な

では、続いて下の2枚目の写真ではどうでしょうか?

キーワード: 夫婦二人の暮らし、丁寧な、自然な

では、最後に3枚目の写真ではどうでしょうか?

キーワード:子育てしやすい、にぎやかな、肌触りの良い

もちろん私が挙げたキーワードは私の頭の中で抱いたイメージなので、人によって異なるでしょう。ここに伝えたいことは、同じダイニングの写真であっても、何を写すのかによってあなたに残るイメージが異なるということです。

このように考えてみると、工務店のホームページにおける施工写真はその会社の家づくりをイメージさせる重要な要素であり、他社との違い、自社の強みを正しく伝えることができる道具と言えるのではないでしょうか?

3. 施工写真はあらゆるマーケティング手法で必須素材である

「施工写真」はあらゆるマーケティング施策において必須の素材だと私は考えています。

今の時代は、工務店もあらゆるメディアを使ってPRや広報宣伝をするのが一般的になりました。ホームページに始まり、ブログやSNS、YouTube、TikTok、もちろん、雑誌やチラシなどの昔ながらのメディアにおいても、施工写真を使った施策を実行することになるでしょう。

一度撮影した写真素材は、数年前にわたって使い続けることになり、マーケティング施策を実行する上で欠かせないアイテムと言えます。優れた施工写真を持つことができれば、その後に安定したマーケティングを実行でき、撮影にかけたコストを回収することは難しくありません。

写真よりも動画の方がいいんじゃないの?と考える人もいるでしょう。

しかし、2024年の現段階では動画を再生するには、何かしらの端末が必要であり、他人に共有しようとするときにデータ量やアクセス性という課題が残されています。

一方で、画像はスマホで簡単に送受信でき、印刷してアナログデータとして扱うこともできます。そして、テキストよりも情報量と読解までのスピードに優れています。

つまり、施工写真を含む「画像」は現代のマーケティング手法で最もコスパに優れた素材であり、工務店経営における無形資産のような存在だと思います。

原材料費や人件費が上がり、消費者に対して値上げをしにくいなかで簡単に削られてしまう「広報費」。少ない予算のなかで何とかして集客して、営業に繋げていくためには優先順位を付けて、効果的なポイントに予算を配分する必要があるでしょう。

工務店経営において、良質な施工写真を残すことは中長期的な目線で考えると最重要なタスクではないでしょうか?

誰が施工写真を撮影するのが良いのか?

ここまで、施工写真が以下に重要なのかということについて触れてきました。しかし、現実的な課題として、誰がそれを制作するのか?ということについて考える必要があるでしょう。

ここでは、工務店のマーケティング実務の経験を踏まえて、私なりの意見をまとめたいと思います。

【結論】メイン写真はプロ、サブ写真は社内スタッフ

まず結論としては、「メイン写真はプロに任せる。サブ写真は社内の広報またはマーケティングスタッフが制作できるようになる。」というのがベストな回答だと思います。

なぜ、このような結論になるかというと、施工写真の制作においては以下のような課題が起こりやすいからです。

  • 工務店の家づくりでは施工写真の撮影のために確保できる時間が少ないから
  • 建築写真を撮影するためのプロ用機材は高価なものが多く、自社で抱えた場合に投資回収が難しいから
  • 天候や時刻によって撮影の品質が左右されてしまうから
  • 施工写真を使ったマーケティング施策を成功させるためには撮影における経験値が必要だから

まず前提として、メイン写真というのはLDKや吹き抜けなどの大空間をゆがみなしで広く撮影して、空間全体の魅力を伝えるような写真のことです。

メイン写真の例

こういったメイン写真を撮影するためには、建築写真専用のレンズと言われる「シフトレンズ」などが必要になります。このシフトレンズは1本あたりの必要が決して安いものではない上に、メンテナンスも必須です。

canonのシフトレンズ

一方、施工写真におけるサブ写真というのは洗面室や玄関、細部などのディテールを表現したい場合の写真のことです。

サブ写真の例

サブ写真も重要な素材ですが、こちらはシフトレンズがなくても撮影できることが多いです。このように良質な施工写真を撮影するためには、それなりの機材をそろえる必要があります。

また、プロのカメラマンに撮影を依頼する場合、日程を1~2日で組むことになりますが、撮影直前で天候が悪化するなどして、満足できるクオリティーにならない結果になることもあります。

このとき、サブ写真を撮影できる自社スタッフがいれば、別日に急遽撮影することである程度の品質のものを残すという選択ができます。

なので、メイン写真(orハイクオリティ素材)は費用体効果的にプロに任せて、サブ写真(orミドルクオリティ素材)は自社スタッフで制作できるようになるのがベストだと私は考えています。

では、社内スタッフ、建築専門のプロカメラマン、建築専門ではないプロカメラマンの3つの選択肢についてもう少し詳しく解説していきます。

1. 工務店の社内スタッフ

まず、1つ目の選択肢は社内に施工写真を撮影できる人材を抱えることです。多くの工務店の場合、広報担当者やマーケティング担当者がこの役割になるでしょう。

社内で人材を育てるメリットは、撮影した素材をどのようにマーケティング施策まで落とし込むのかが一気通貫で考えることができ、そのPDCAを回すことができるという点にあるでしょう。

ここから実際に私が実施した施策4を使って具体的に説明します。

このお家は、お二人の娘が成人を迎えて、老後を見据えて40代後半から家づくりを始めた夫婦のお家です。LDKは18帖と平均的な大きさのお家ですが、実際にリビングに立つと図面で見るよりも開放感を感じることができる空間です。

そして、このお家は奥様と娘のこだわりを中心に家づくりが行われており、女性目線での計画されています。これらのポイントを踏まえて、私はこのお家の見学会向けのコンセプトを「垢ぬけた間取りの家」としました。

キャッチコピー 大人女性に大好評だった▲▲駅から車で3分の-垢ぬけた間取りの家-

その上で、コンセプトを一瞬で理解できるような明るく抜け感のある写真素材を見学会開催直前に撮影し、以下のような広告を出稿しました。

このように、社内スタッフが撮影を行うという選択肢があれば、マーケティングコンセプト設計→撮影→編集→施策実行→フィードバック→改善の流れを短期間かつ一気通貫でできるのです。

ただし、社内スタッフのマーケティングに対する知識や経験、撮影スキル、デザインスキルなども必要になるため、まだこのような人材がいないという場合には少し中長期的に考えて進めていく必要があるでしょう。

2. 建築専門のプロカメラマン

2つ目の選択肢は、建築写真を専門とするプロカメラマンです。この選択肢ならば、さきほども紹介したシフトレンズを使ったゆがみのない大空間の撮影や、建築のどんな部分に魅力があるのかを写真で表現することができます。

また、撮影に慣れているカメラマンの場合は、30坪~40坪の程度のお家を3時間程度で撮影できるので、短時間でパッと良質な施工写真にしたいという場合には建築専門のカメラマンに依頼するのが良いでしょう。

ただし、撮影後に納品される写真には、プロカメラマンの趣味趣向が反映されているということに注意しておく必要があります。

プロカメラマンは通常、撮影した素材を修正する「レタッチ」と呼ばれる作業をなるべく減らして、効率的に撮影を行うために、撮影時点である程度カメラに設定を行って撮影するのが一般的です。

これを料理で例えるなら、下味をつけた素材で料理を始めるようなものです。この場合、下味をどれくらいつけるのか、最終的にどんな味付けにするのかはカメラマンの好みによるということになります。

たとえば、以下の4つの写真を比べてみてください。いずれも同じ空間の同じ画角の素材ですが、レタッチによって見る人の印象は大きく分かります。

元素材

ナチュラル

ハイコントラスト

抜け感重視

このように、写真は味付けによって変わることを理解すると、プロカメラマンにお任せした場合、自分たちがユーザーに届けたいイメージとカメラマンが作り出すイメージが違うという問題が起きることになります。

なので、プロに完全にお任せするというのも1つの選択肢ではありますが、人材がいるならば社内育成にも力を入れるべきだと私は考えています。

3. 建築専門ではないプロカメラマン

最後は建築専門ではない外部のプロカメラマンに依頼するという選択です。

もちろん建築専門でなくても、写真を撮る技術はあるので問題ないと思いますが、建築写真特有のルールである「ゆがませない、あおりすぎない」などの理解して撮影してもらう必要があるでしょう。

工務店スタッフが施工写真を撮影するときのコツ

では、最後に工務店の広報担当またはマーケティング担当者に向けて、施工写真を撮るときのコツについて私の経験を踏まえた話をしたいと思います。

はじめて施工写真を撮影するときに、特に注意しておくべきポイントは3つです。

コツ1. 水平垂直が基本

建築写真において、水平と垂直のラインは非常に重要です。これらが歪むと建物自体の品質が疑われる可能性があります。三脚を使用し、カメラの水準器を活用して、正確なアングルを保ちましょう。

少しのゆがみであればレタッチソフトで修正することができますので、撮影するときはカメラのモニターで確認して気にならない程度の水平垂直になっていればOKとしてください。

実際に、ゆがみの有無による違いを見てみましょう。

補正前:ゆがみのある写真

補正後:ゆがみのない写真

2つの写真を比べると、明らかにゆがみのない写真が好印象になります。なので、撮影時は水平垂直を意識して撮影するようにしてみてください。

コツ2. レタッチで色を足しすぎない

撮影後は、自分の表現したい色味や質感、空間を強調するためにレタッチを行います。しかし、料理で味付けしすぎると、素材本来の魅力が伝わらなくなるように、写真でレタッチを多用しすぎると、空間が持つ魅力を損ねてしまうケースもあります。

なので、レタッチでは何をどのように見せたいのか、そしてどんな写真が求められているのかを意識して編集を行う必要があります。

たとえば、私の場合、「洗練された建築デザインと良質な暮らしをイメージさせる写真」と想定した場合、以下のようなレタッチを行います。

元素材(撮影した時点)

〇:レタッチ完成後

×:コントラスト強すぎ

×:色飛びすぎ

もちろんレタッチに正解はないので、どんな編集をしても良いのですが、何が自分にとっての正解で、何が不正解なのかという判断軸を持つ必要があります。

そのためには、たくさんの建築写真を見て、自分が良いと感じる写真が何が良いのか、悪いと感じるものは何がダメなのかについて自己理解を深めていく必要があるのです。ぜひ、いろんな建築雑誌や写真集を見てみてください。

コツ3. 不要な情報を省く

写真はメディアであり、情報を他者に届けるための道具です。だからこそ、作り手(撮影者や編集者)は受け手のことを考えて、情報を取捨選択する必要があります。

たとえば、次のような建築の外観写真があったとします。あなたはどちらの建築写真が魅力的に感じるでしょうか?

写真A

写真B

おそらく、写真Bと答える人の方が多いのではないでしょうか?なぜそのような答えになるかというと、不要な情報が省略されているからです。たとえば、電線や敷地の隅に置かれているポールなどが消されており、建物奥にあるオレンジ色の建物がなるべく目立たないように補正されています。

どこまで補正して良いのかは難しく、人によって判断が分かれるところですが、ミュージシャンの音源がある程度編集で整えられていたりするように、当事者に不快感を与えない程度の編集を加えることであれば私は良いと考えています。

不要な情報を省くためには、撮影の段階でなるべく配慮して撮影することももちろん必要ですが、photoshopなどのデザインツールでキレイに編集処理する技術を高めることも大切です。

まとめ

今回はなぜ施工写真が工務店の集客において重要なのか?そして、どのように撮影すれば良いのかについて解説しました。

私自身、カメラが1つの趣味であったこともあり、仕事のような趣味のような感覚で施工写真と向き合うことができています。

ぜひ、この記事を参考にして魅力的な施工写真を残してください。また、次回のブログでお会いしましょう。

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